もうちょっと、あと少し

人間にはどのくらいの土地が必要かある男が働いてようやく得た金で土地を買おうと思い立ち、ひとりの地主を訪ねた。


その地主は男に言った。
「日の出から日没までに歩くことのできた土地をあなたのものとしよう。

ただし、日没までに村に戻ること。

もし戻らなければ、すべての土地はあなたのものにならない」


男は朝日が顔を出すと同時に村を出て、

懸命に歩いた。歩けば歩くほど、

どんどん土地は豊かさを増す。昼を過ぎ、

さらに時間が経ち、そろそろ引き返さなければ間に合わないとは思いつつも、土地はますます魅力的になる。

 

もうちょっとだけ、

あと少しだけ
歩いたら、
と男はなかなか戻る決断ができなかった。


そのうちに日はいよいよ傾き、
ついに空が赤く染まりはじめたころ、
男はやっと事態の深刻さを悟った。
男はあわてて道を引き返しはじめた。

 

かなり遠くまで歩いて来たはずだ。

これで日没までに戻ることができれば大地主になれる。男は困憊する身体にムチ打って、とにかく先を急いだ。
村では地主だけでなく、たくさんの村人たちが男の帰りをいまかいまかと待っていた。
夕日はもうほとんど沈みかけている。

村人がようやく男の姿を認めたのは、そんなときだった。
「がんばれ! もう少しだ!」
村人の声援に応えるように男は必死で歩いた。


まさに日が落ちたというその瞬間に、
男は地主のもとにたどり着いた。
「すばらしい土地を手に入れたな。

おめでとう。」
地主がそう声をかけたが、

 

 

 

 

 

男はその場に倒れ込んだまま起き上がらなかった。


そして、
そのまま帰らぬ人となった。

 

 

 

 

 


この哀れな男のために村人たちは墓をつくってやった。
男に必要だったのは、
ほんの数メートル四方、

自分を埋葬する土地だけだった。
(ビジネス寓話50選より抜粋)

 

 

この話のように、

目標がなければ、

やみくもに、

出来るだけたくさん といったところで、

結局手にするのは本当に必要最低限のものだけである。

 

 

 

ましてや、

健康を害していては(死んでいては)元も子もない。

 

 

この話から、無目標であることの恐ろしさを感じます。

 

明確な目標は

様々な分野を豊かにします。

 

明確な目標設定を。

 

 

心構えこそすべて

鈴木康介